滋賀県|高齢者の共有名義財産、そのまま放置していませんか?
「あのとき備えていれば」――共有名義の不動産と、認知症が招いた決断
こんにちは、しげのぶ不動産の相続相談担当マナベです。
不動産売却の現場に携わっていると、さまざまなご家族の事情に立ち会うことがあります。
先日、家族信託を専門とする先生とお話しする機会があり、改めて「備えの大切さ」を痛感しました。
今回は、その会話の中で出てきたあるご家族のケースをもとにお伝えしたいと思います。
共有名義の不動産、そのリスク
ご夫婦や兄弟姉妹など、複数の方が共有名義で不動産を所有しているケースは珍しくありません。
しかし、共有名義には「全員の合意がなければ売却できない」という大原則があります。
今回ご相談いただいたケースでは、共有名義のお一人が認知症を発症し、意思確認ができない状態になってしまいました。
売りたくても、その方の同意を得ることができない。
そもそも、認知症になると不動産が売れなくなるということを、ご家族はご存じありませんでした。
相談に来られて初めて、その現実を知ることになったのです。
成年後見制度を使えば解決する?
こうした場合、一般的に取られる手段が成年後見制度の活用です。
家庭裁判所に申し立てを行い、本人に代わって法律行為を行う「後見人」を選任してもらうことで、不動産売却の手続きを進めることができます。
ただし、ここに大きな落とし穴があります。
後見人が家族になるとは限りません。
家庭裁判所が後見人を選ぶ際、親族よりも弁護士や司法書士などの専門職が選任されるケースが増えています。
特に、不動産売却など財産に関わる場面では、専門職後見人が選ばれる傾向が強くなります。
⚠️ 後見人への報酬は、売却後も継続して発生します。
月額数万円の費用が、本人が亡くなるまで原則として続きます。
「売却のためだけに使う制度」と思っていたご家族が、その後の費用負担の重さに驚かれることは少なくありません。
共有名義だと、さらに判断が難しくなる
単独名義であれば、成年後見制度を使って売却を進めるかどうかの判断は、ある意味シンプルです。
しかし、共有名義の場合はさらに複雑になります。
他の共有者が売却を望んでいても、費用対効果の面から後見制度の利用をためらうケースがあります。
一方で、放置すれば維持費や固定資産税の負担が続き、将来的には相続問題にも発展しかねません。
どちらを選んでも、ご家族にとって簡単な決断ではありません。
先生とのお話の中で、このケースについて率直に「家族信託を組んでいれば、こうはならなかったのに」という言葉が出ました。
家族信託という「もう一つの選択肢」
家族信託とは、あらかじめ信頼できる家族(子など)に財産の管理・処分権限を託しておく仕組みです。
認知症発症後であっても、信託を受けた家族が本人に代わって不動産を売却することができます。
成年後見制度と比べたときの大きな違いは以下の点です。
* 後見人を家族以外に選任される心配がない
* 売却後も継続的な費用が発生しない
* 家族の意向を反映した柔軟な財産管理が可能
もちろん、家族信託も万能ではありません。
設計には私のような専門家のサポートが不可欠ですし、信託契約を結ぶためには本人の判断能力があるうちに手続きを行う必要があります。
「まだ大丈夫」が、最大のリスク
認知症は、ある日突然やってくることもあります。
「うちの親はまだしっかりしているから」と感じているご家族ほど、備えが後回しになりがちです。
しかし、いざ意思確認ができなくなってからでは、家族信託も任意後見も選べません。
選択肢が残っているうちに、一度ご家族で話し合ってみてください。
不動産の売却を検討しているご家族はもちろん、「今はまだ売るつもりはない」という方も、名義や今後の管理について早めに整理しておくことを強くお勧めします。
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