
離婚による売却について
こんにちは、しげのぶ不動産代表の伊藤です。
今回は、不動産売却の現場でよく遭遇する、離婚に伴う不動産査定について、実際の事例を交えながらお話しさせていただきます。
現実は決して甘くありませんが、正しい知識を持って臨むことで、より良い解決策を見つけることができるはずです。
離婚による不動産査定の現実
不動産査定の1/3は離婚が原因による依頼です。
住宅ローンの名義人によって依頼も様々。
旦那さん単独・ご夫婦のペアローン・奥さんが保証人などなど。
よく聞かれるのは、売却したら利益がいくら残って夫婦でどう分割できますか?みたいな感じの事です。
実際の事例から見る現実
今回のご依頼は、新築して5年、旦那さんの単独名義でした。
毎年の返済は100万程で、現在500万返済済み、残債が2900万です。
我々のエリアでの話で、築年数の少ない建物に共通することですが、ほぼ全ての物件で実際の査定額よりもローン残債の方が上回ります。
利益はでません。
なんとも悲しい現実です。
売却時の課題と価格設定
査定額で販売しても手持ち金で追い金をしないとローンが消せません。
もちろん預金に余裕があり追い金出来る方はいいですが、ほとんどの場合そんな余裕はありません。
この場合、正直査定もする意味が無く、残債+販売諸経費(仲介手数料など)の合計で売出価格を設定します。
正直値引きもできません。
ですがほとんどの場合この価格は相場より高めになります。
結果すんなりは売れないパターンです。
なぜ築年の少ない建物は査定が下回るのか
そもそもなぜ築年の少ない建物は査定が下回るか。
フルローンの場合ですが、借入金額には購入時の諸経費があります(借入の約1割程度)。
これは土地・建物の査定は含められません。
次に建物には建設業者の利益が含まれています(建物価格の約2~3割程度)。
これだけでかなりの金額になります。
これも建物の価値とは別物です。
なんとなくご理解頂けたでしょうか。
新築引渡で鍵を開けた瞬間に約3割以上は価格が下がっています。
これには新築というプレミアが無くなるという意味もあります。
自動車の新古車が安いのと同じです。
余談ですが、以前建築途中で離婚するから査定してほしいと言われました。
これはさすがに初体験で、もちろん未入居のほうが高くは売れます。
最終的には、建築されていた業者さんが買取後に再販されました。
結果はマイナス300万。
それでもマシな方だと思います。
くれぐれも売却して利益が残るとは思わないで下さい。
今回はその後、残債+売却時の諸経費でなんとか追い金無しのトントンで売却出来ました。
立地として駅に近いのが良かったです。
10年以上経過してくるとこの乖離はかなり減ってはきます。
補足、都会のマンションなどは逆に利益もでたりしてます。
何より離婚されないことがいいですが、もしそうなった場合はなかなか厳しいとご理解下さい。